殺処分の現実

全国の動物愛護施設では、年間約20万頭とも言われる動物たちが、殺処分されています。事実を知った上で、私たちのなすべきことを考えていきましょう。

殺処分は安楽死ではない

殺処分の方法は、多くの人が安楽死だと思っていますが、センターにその余裕はありません。薬物による注射ができない自治体では、限られたスペースに次々に送り込まれる動物たちを効率よく処分するために、二酸化炭素による殺処分が行われています。

処分が決定した動物たちを、二酸化炭素室へ送り込み、徐々にガスを満たしていきます。窒息死するまでの十数分間、苦しさと闘いながら、動物たちは吠えたり壁を引っかいたりします。重なり合うように倒れた動物たちの体は、その真下にある焼却場へとボタン一つで落とされます。
子犬や子猫のように、まだ息の浅い動物たちは、この数分では呼吸は止まらず、生きたまま焼却処分になることもあります。その数が、年間20万頭。1日約1,000頭に上るのです。

飼い主による持ち込み

愛護施設に持ち込まれる動物は、野良猫や迷い犬など、飼い主が分からないまたはいない動物たちもいますが、明らかにペットとして飼われていて、飼い主の手によって持ち込まれる動物たちの方が圧倒的に多いのが現状です。 その理由として多いのは、ペット不可のアパートに引っ越さなければならなくなった、大きくなりすぎた、吠えるからうるさい、噛むので困る、老犬になって面倒をみることができない、などです。これらはすべて、動物を飼う以前に想定できたことですし、回避することもできる問題ばかりです。

またいくつかの地域では、まだ「定時定点収集」というシステムが残っています。これは、いわゆる「ゴミの回収」のようなものです。不要になった犬や猫を連れて、収集場所に集まるのです。回収車に載せられた動物たちの多くは、殺処分されます。 たった数日でも一緒に暮らした動物を、こんなふうに施設に持ち込むことができるでしょうか。飼い主によって持ち込まれた動物は、法的には即日処分可能です。

簡単に手に入れ、簡単に捨てる

空前のペットブームを迎え、ペットショップには小さくてかわいらしい子犬や子猫が多く売られています。「かわいい」にこの上ない価値を見出すのが現代の日本人とも言え、動物がたとえ命を持っていたとしても、かわいいモノを衝動買いする人は多く存在します。
近年では、インターネットのオークションで1円から動物を購入することができます。どんな環境で育ったかも分からず、健康かどうかのチェックもせず、動物を買おうという需要があるからこそ成り立つ商売です。
また、繁殖業者による動物の持ち込みも問題になっています。まだ多くの自治体が、動物の引き取り手数料を求めておらず、悪質な場合には何頭もまとめて、何度も持ち込みを繰り返す業者もあります。